2017.10.23

宝石鑑定士ブログ

宝石小話 (トルマリン2)

 

古くから変種(カラーバリエーション)が多く、他の宝石と混同されてきた歴史を持つ
マルチカラーの王者ともいえるトルマリンですが、現在最も有名で価値がある変種は「パライバ」になるでしょう。

パライバは1990年にツーソンのショーで紹介された比較的新しい宝石です。
デビュー以来世界中で熱狂的に迎えられました。
その魅力はなんといってもあの鮮やかなブルーやグリーンのカラーによります。
ブルー、グリーンの宝石は他にもありますが、パライバのその強烈な鮮やかさは格別で「エレクトリックブルー」「ネオンブルー」などと呼ばれます。

パライバトルマリン ルース

色因(しきいん:色づかせている原因)は、微量元素の銅になります。銅が微量元素として色づく宝石、鉱物はトルコ石等他にもありますが、トルマリンに含まれるというのがとても希少(特異な形成環境)ということになります。
銅以外にもマンガンが含まれるとバイオレットの要素となります。
ブラジルの北東部パライバ州で発見されたことから「パライバ・トルマリン」と呼ばれるようになりました。

当初はパライバ州の1地域からしか産出がなかったのですが、後に隣の州リオグランデド ノルテ州から、そしてアフリカはナイジェリアやモザンビークからも同種のトルマリンが発見され、現在鑑別上では「パライバ」は産地を限定するものではなく、微量元素・銅イオンによる鮮やかなブルーやグリーンのトルマリンに対して使われる変種名となっています。

Bellezza d’Amore ベレッザダモーレ 【愛というものの美しさ】
パライバトルマリン リング と ネックレス

 

パライバ以外のブルー及びグリーンのトルマリンも高い人気を持っています。
その特徴は、
<ブルー>
明るい色から暗い色まで
色相は バイオレット味のあるブルー~ブルー~グリーン・ブルー

<グリーン>
パステルカラーな明るいグリーンから暗いグリーンまで。
色相は青みが強いグリーン~グリーン~イエローグリーン
*ペリドットのカラーもカバーしています。

色因は、ブルー、グリーンとも微量元素(不純物)の鉄です。

エメラルドの代用品となる上質のグリーンは「クロムトルマリン」と呼ばれていまが、色因はブラジル産エメラルドの色因と同じ微量元素バナジウムのことが多いのです。 

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トルマリンにはその他にもユニークな変種がまだまだあります。
また次の機会に紹介したいと思います。

 

コーディネート例は
クアラントット スタイリスト インスタグラム
https://www.instagram.com/quarantotto_stylist/

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GIA GG(米国宝石学会 宝石学修了者)
クアラントット宝石鑑定士
宝石学講座元講師
山本ウィリアム登喜生 Tokio WILLIAM Yamamoto