2017.11.29

宝石鑑定士ブログ

宝石小話 (ガーネット 2)

 

前回ガーネットには、6つの基本的な宝石種があるとお伝えしました。

基本の6つの宝石種
アルマンディン
スペサルティン
パイロープ
グロッシュラー
アンドラダイト
ウバロバイト

今回はこのうち下の3つについて紹介していきます。

グロッシュラー
純粋な状態ではカラーレスになります。不純物(微量元素)が存在することでカラーが付きます。
不純物として鉄、マンガン、バナジウムなどを含むことでイエロー、オレンジ、ブラウン、グリーン系のカラーをもちます。

名前のよく知られた変種として「ツァボライト」があります。ケニヤのツァボ国立公園から発見(1960年代)されたことでこの名前が付いた鮮やかなグリーンのガーネットの色因はバナジウムです。
明度が高かったりイエロー味が強い場合は変種名無しのグロッシュラーガーネットとなりますが、ガーネットは色や産地を用いた名称で販売されることが多いので、それぞれの石の色目から「ミントガーネット」「ライムガーネット」などのように呼んでいます。
オレンジカラーの変種は「ヘソナイト」と呼ばれ、色因は鉄とマンガンの微量元素によります。
淡いカラーでは「シャンパンガーネット」などと呼んでいます。

 

アンドラダイト
鉄とカルシウムを主成分とするこのガーネットの色範囲はイエロー~グリーンになります。
イエローの石はトパーズに似た外観から「トパゾライト」と呼ばれることもあります。
微量元素としてクロムが入って鮮やかなグリーンカラーのものは「デマントイド」の変種名で呼ばれます。

無色のダイアモンドの中から見える虹色の輝きを「ファイア」といいますが、白色光を分散させることで見られる現象です。このデマントイド(アンドラダイト)も分散能力が高いためグリーンカラーの中に虹色の輝き*が見えることから“ダイアモンドのような”という意味からデマントイドと名付けられました。

ウバロバイト
希少性が高く、産状も小さな結晶が群生しているため宝石として扱われることはめったにない鉱物コレクターアイテムになっています。

 

前回、ロードライトや、マラヤなどいくつかの種が混じりあうガーネットについてお話をしました。

今回は最後にグロッシュラーを主成分としてアンドラダイトの成分を含む混合型「マリガーネット」を紹介します。

アンドラダイト譲りの分散能力からファイア(虹色の輝き)*を伴った鮮やかなイエロー~グリーンの色範囲を持つこの種は、比較的最近1990年代にアフリカ西部にあるマリ共和国で発見されました。色に関係なく産出国に因み「マリガーネット」と呼ばれます。

Profumo mio プロフーモミオ 【私の香り】
マリ ガーネット リング

 

ガーネットの基本の6つの宝石種、そして混合型の宝石種や色による変種を紹介してきました。
もちろん宝石の美しさや価値は主要成分や不純物(微量元素)の多寡や成分の比率等で決まるわけではありません。

一石一石の微妙な色の違い、個性を是非手に取ってご覧になってください。

 

 

文中の*
虹色の光(ファイア)はデマントイドやマリガーネットでは、地色に隠されるので見やすさには個体差があります。ダイアモンドのように強く観察されるものではありません。

 

コーディネート例は
クアラントット スタイリスト インスタグラム
https://www.instagram.com/quarantotto_stylist/

クアラントット インスタグラム
https://www.instagram.com/quarantotto/

 

GIA GG(米国宝石学会 宝石学修了者)
クアラントット宝石鑑定士
宝石学講座元講師
山本ウィリアム登喜生 Tokio WILLIAM Yamamoto