2018.03.26

宝石鑑定士ブログ

宝石小話 (ダイアモンド選びと4C その3)

 

大変しばらくぶりになってしまいました。

気が付けば寒い冬も終わりとても良い季節になってきました。

鑑定士ブログでは引き続き4Cをお伝えしていきたいと思います。

 

ダイアモンド選びをする際の4Cの考え方について、第1回目はキャラット重量(Carat)、第2回目はカット(Cut)についてお話をしました。

3つ目のCはカラー「Color」です。

唯一の元素 炭素(元素記号:C)99.9%から成る純粋な宝石ダイアモンド。
多くの方が抱くダイアモンドのイメージでは、きっとそのカラーは無色透明(カラーレス)なのではないでしょうか。

しかし宝石上級者、中級者の方はよくご存じの通り、実際に産出するダイアモンドには大抵色があります。その中で色がない(カラーレス)ことが希少で価値があるわけです。

ダイアモンドの「通常の色範囲」としては、カラーレスからライトイエロー(明るい黄色)またはライトブラウンになりますが、この色範囲のダイアモンドのカラーグレード評価はアルファベットのDからZが割り当てられています。アルファベットが進むと色の濃さが増えていくシステムです。

「通常の色範囲」以外のカラー(ピンク、ブルー等)はファンシーカラーと呼ばれ、全く違った価値スケールを持ちますので別の機会にお話ししたいと思います。

カラーグレードはいくつかの段階に分けられます。
トップの3グレードD、E、Fは「カラーレス」と呼ばれ、石をどこからどう観察してみても色自体は全く感じられません。

カラーの評価はルース(裸石)の状態で、調整された照明環境下で「マスターストーン」と呼ばれる比較用のダイアモンドを使って慎重にグレード付けされますが、D~Fではほんのわずかな透明度の差としてグレードされます。

G、H、I、Jは「ニアカラーレス」と呼ばれフェースアップでは色が感じられず、フェースダウンで観察して僅かな色付きが感じられるというグレード範囲になります。

「フェースアップ」とは宝石の上部「クラウン」を顔に見立てて正面から見ている状態の表現です。「フェースダウン」とはその顔を伏せて宝石の下の部分「パビリオン」を上にした状態を表す用語です。
ダイアモンドはフェースアップでは輝きが強すぎてカラーの判断が難しい為、フェースダウンでグレーディングするのです。

クアラントットでは、安心してお選びいただける「カラーレス」と「ニアカラーレス」レンジのダイアモンドをご用意致しております。

キャラット重量(大きさ)とカットの説明では、ダイアモンドをよく観察していただく重要性をお伝えしましたが、カラーについてはこの限りではありません。

日常光の下で、しかもフェースアップの状態ではそれぞれのグレードの差異はわからないものとなっております。
皆さまのお石選びの楽しみを奪うつもりは毛頭ございませんが、石を並べて比較してみても、グレード差が1~2つではその違いわからないことでしょう。
カラーの違いといってもすべてがカラーレスになりますので、実際にはほんの僅かな明るさの(透明感の)違いといった印象になると思います。

また、比較するダイアモンドのサイズ(重量)とカットが同じでなければカラーをうまく比較できません。カットの違い、サイズの違いによる外観の変化のほうががはるかに大きいからです。

カラーグレードの価値は、希少性(100石のうちそのグレードが何石あるのかという出現率)による違いです。
その希少性の違いから、カラーグレードが1つ変われば石の価格は大きく変わります。
特にEカラーとDカラーの開きが大きくなります。

ダイアモンドの色因は、不純物の窒素になります。ダイアモンドは炭素の純粋な結晶構造を持つ宝石ですが、僅か0.1%ほどの窒素が存在することで、カラーに影響しています。

単純に不純物窒素が多くなればカラーグレードが低くなるというものではないのですが、
カラーに純粋さを求めるとすればトップカラーであるDカラーをお選びください。
この場合カラーをDに決めてしまって残りの3Cの組み合わせを考える流れになります。

予算の都合もあります。Dではなく同じくカラーレスカテゴリーのFカラーにしてその分重量を大きいものにするというのも輝きの迫力が上がるので良いと思います。

また次回小話予定の最後のC「クラリティグレード」を上げるためにカラーを抑えるという考え方も出てきます。

 

カラー選びをまとめますと、熟練したグレーダーであっても整えられた環境で比較用マスターストーンを使用しないと決定できない微妙な違いのカラーグレードですので、
購入時にカラーで悩まれる場合はグレーディングレポート(鑑定書)のカラーグレードを確認していただければ十分だと思います。
石のサイズが大きかったり、グレード差が3つ以上ある場合には観察で違いを感じることができるかもしれません。

参考までに、フェースアップでカラーがわかり始めるグレードはフェイントイエロー(かすかな黄色)と呼ばれるK、L、Mカラー辺りからになります。

 

 

Champagne シャンパーニュ 【シャンパン】K18 YG 0.216ct Dカラー カット G

 

Fiore Eterno フィオーレエテルノ 【永遠に咲く花】K18YG/Pt 0.184ct Gカラー カットVG

 

コーディネート例は
クアラントット スタイリスト インスタグラム
https://www.instagram.com/quarantotto_stylist/

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GIA GG(米国宝石学会 宝石学修了者)
クアラントット宝石鑑定士
宝石学講座元講師
山本ウィリアム登喜生 Tokio WILLIAM Yamamoto