2018.07.30

宝石鑑定士ブログ

タイプⅡaダイアモンド入荷!

 

科学者はダイアモンドを大きく2つのタイプに分けます。

ダイアモンドに一般的な不純物元素は「窒素」ですが、高度な検査によって窒素が検出されたものを「タイプⅠ」、検出されなかったものを「タイプⅡ」と呼びます。

さらにそれぞれが、a と b に分類され、Ⅰa、Ⅰb、Ⅱa、Ⅱbと4つのタイプに区別されています。

 

2年前のジェモロジストブログで鑑定士淵田さんがタイプⅡa含む4つのタイプの紹介をされていました。

かつては、専門的に宝石学を学んだ人でもなければダイアモンドにタイプがあるということは知る由もなかったのですが、現在では鑑別上とても重要な情報となっていることもあり、広く知られるようになりました。

 

天然ダイアモンドの98%以上がⅠ型でそのほとんどがタイプⅠaになります。そのカラー範囲は無色(カラーレス)からイエローになります。
街で見かけるほとんどのダイアモンドがタイプⅠaということになります。

タイプⅠに窒素不純物が存在するといっても、僅かに0.05%~0.1%~0.2%のようなレベルです。ダイアモンドは、99.9%炭素原子で出来ている大変純粋な鉱物・宝石です。

 

各タイプを軽くおさらいをしておきますと、Ⅰbはかなり彩度の高いイエロー(ファンシーカラー)になります。天然では非常に珍しい存在ですが、窒素を含む合成ダイアモンドは通常このタイプになります。

ⅠaとⅠbの違いは窒素不純物の存在の仕方です。
Ⅰaのほうは窒素原子が2つとか4とか集合しているのに対してⅠbでは単独で孤立して散在しています。
単純に“窒素不純物の多いほうが濃い(強い)イエローカラーになる”というわけではないのです。

 

不純物元素窒素を含まない(或いは精密機器でも検出できないほど少ない)タイプⅡは非常に希少性が高く、統計により異なりますが100個に1個1000個に1個といわれるような少なさのレベルになります。

大抵ダイアモンドの4つ目のタイプとして紹介されるタイプⅡbでは、窒素不純物を含まないだけでなく、不純物にホウ素を含んでいる非常に珍しいタイプになります。
ホウ素不純物はダイアモンドに青みをもたらしますが、アメリカのスミソニアン博物館にある「ホープダイアモンド」が有名です。ダイアモンドは電気を通さない絶縁体ですが、タイプⅡbはしばしば導電性があり半導体となります。

 

さて、前置きが長くなりました。神戸店にタイプⅡaのダイアモンドがやってきました。

Dカラー IFインターナリーフローレス 3EX H&C 0.382ct

 

神戸店にはDカラー IF のダイアモンドが常時数石用意されております。しかし、それらはすべてタイプⅠaになります。

4Cが同じDカラー IFインターナリーフローレス 3EX H&Cの石をどんなに目力を強くして見比べてみても、タイプⅠaとタイプⅡaの違いは判りません。 
鑑定機関による分析報告書にて確認することができます。

タイプⅡa 分析レポート

 

グレーディングの現場での経験として、タイプⅡaのDカラーの方がタイプⅠaのDカラーより明るいと感じることはありました。
イギリス王室の所蔵のカリナンダイアモンドやプレミアローズなど歴史的有名なダイアモンドと同じタイプⅡaです。Dカラー フローレスのような有名ダイアモンドはこのタイプⅡaが多いのです。 

炭素原子99.99%以上の純粋なタイプⅡaのこのダイアモンドは、どんなかたがお迎えになられるのでしょうか。

 

コーディネート例は
クアラントット スタイリスト インスタグラム
https://www.instagram.com/quarantotto_stylist/

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GIA GG(米国宝石学会 宝石学修了者)
クアラントット宝石鑑定士
宝石学講座元講師
山本ウィリアム登喜生 Tokio WILLIAM Yamamoto