2018.02.18

スタイリストブログ

POST NUBILA PHOEBUS

 

日毎に日が長くなってまだうっすら明るい夕刻のフィレンツェ18時前

一人の男性が1歳くらいの男の子を肩車してお店の前で立ち止まり

扉に手を掛けようとしていた

 

身長が190㎝以上、黒髪でとても優しい声でお子様に問いかけていた

その話す言葉から彼らがフランス人だとわかった

 

彼は少し見せてくださいねと私に挨拶をしたあと興味深くウィンドーを覗いていた

お子様は彼の足元からチラチラと私の顔を見ては目を逸らしていた

 

私は彼がずーーっと見ていたネックレスチャームのウィンドーを開けて

キラキラと輝くフィレンツェ彫りのお話しをさせて頂いた

フランスからお仕事でこちらに来られているそうで

何かフィレンツェの伝統のものを是非奥様にプレゼントしたいと話された

 

このネックレスに彫られたラテン語

POST NUBILA PHOEBUS   ポストヌービラポエブス

雨雲の後には太陽の光

 

 

 

 

私たちの人生はいつもこんな風に幸せな瞬間と辛い時の繰り返し

いつも幸せな時間ばかりだとその大切さを忘れてしまう

時に起こる辛い時期を乗り越えて見えた一筋の光こそが大きな幸せの喜びを与えてくれる

きっと奥様もこのチャームを気に入ってくれるはずですよと付け足した

 

私はこのチャームを受け取られる奥様を見たことがないが

この男性の優しい目や表情そしてお子様を見て

どんなに綺麗な女性だろうと想像が止まらなかった

 

お店を出る前に男性は私に

『この近くでお花を買えるお店はあるかな?』と尋ねた

素朴に素敵だと思えた彼の質問に私は何故か感動した

私はここを真っ直ぐ歩き左に曲がるとVia santo spirito 通りがあり

そこに可愛いお花屋さんがありますよと告げた

 

奥様はどんな表情をしてジュエリーとお花を受取ったんだろうか

少しの時間お店の中に聞こえていたフランス語のOui ―ウィの響きが

音楽のように耳に残っていた

 

愛を表現することはその人を想うこと

 

 

 

翌朝どんより曇っていたフィレンツェの街

でも私はきっとこの後大陽がでると何故か確信できた

 

自分に言い聞かせるように….