2018.05.24

スタイリストブログ

Bellezza d’amore

 

自分の誕生石を知ったのはいつの頃だったろうか?

 

まだまだ大人の女性という言葉からは見た目も心もかけ離れていた私が

あるジュエリーショップに足を運んだのは25歳の誕生日を迎える数日前であった

 

なんだか気恥ずかしくウィンドーを覗く私に

サラサラのボブヘアの女性店員は優しい目で挨拶をしてくれ少しㇹッとした

並べられたジュエリーはどれも美しく見ているだけで

大人の女性になった気分にさせてくれたのを少し遠い記憶の中に覚えている

 

その女性は

『何かドキッと目のあったジュエリーはありましたか?』と聞いた

なんて返事をしていいのかわからず黙り込んでしまった私の目に入ったのは

彼女の中指のリングだった

 

 

彼女はそのリングをすーーっと中指から抜くと

私に見せてくれた。

イタリアではロザートと言われるロゼワインの色

爽やかさと熟された実をミックスしたようなザクロのような色でもあった

石の周りにはフィレンツェ彫りという手作業の仕上げがされていた

私は角度を変えてルビーがキラキラ放つ輝きを子供のように眺めていた

 

彼女はルビーの石の説明と共に最後に

『今年の7月で30歳になりました!自分へのご褒美にしたのですよ!』

と私の目を見ながら言った

綺麗に引かれた彼女のアイラインが印象的であった

 

このリングにはこんなメッセージが込められていますと

私にイタリア語のメッセージの説明を続けた

 

Bellezza d’amore

   

【愛というものの美しさ】 〜 愛は美しい ただそれだけのこと 〜

 

自然界の中で育まれる奇跡の欠片を

こんな形で身に纏えるなんてなんて素敵なんだろう

全く想像もしない未知の世界に連れ込まれるかのように

私は大人の女性に憧れ自分もこのリングを付けれるような女性になりたいと思った

 

彼女が説明してくれたリングにまつわるストーリーの

愛という言葉にはまだ未熟すぎた私

頬を赤くしてなんて返事をしていいのかわからなかった

そんな私に彼女は

『愛には色んな形や色がありますーそれは家族かもししれないし大切なペットかもしれないですね』

 

すっかりOL生活が身に着いた数年後

私はマスカラもアイラインも人並みに使える女性になっていた

少しお洒落をしてあのジュエリーショップを訪れた

あのスタイリストの女性はあの時と同じ笑顔で私を迎えてくれた

 

 

 

私の指に輝くこのリングはあの時に感じた優雅な空間や空気

あの時の私には少し高価なお買い物であったのかもしれない

そしてまだリングだけが2,3歩先を歩いていたのかもしれない

 

このリングを着こなそうと決めたあの時から

自分が描く女性像に少しづつ近づこうと努力をした

 

なりたい女性像をイメージすることは

そこに近づくそして自分のスタイルを作り上げていく大切なレッスン

 

そしてもうすぐ迎える30歳のお誕生日を前に

私は次に目標とする女性像を思い浮かべながら

ショーケースの中のジュエリーを一つづつゆっくりと優雅に眺めていた